半田赤レンガ建物(旧カブトビール工場)
明治31年(1898年)、丸三麦酒株式会社のビール工場として半田赤レンガ建物は誕生し、「カブトビール」というビールを全国に送り出しました。既にアサヒやサッポロ等の大都市メーカーがほとんどのシェアを占めていた時代、地方都市・半田から果敢に挑戦を仕掛けたのです。残念ながら昭和初期に製造は終了してしまいますが、豊かな財政力を背景にした建物の規模と構造的工夫の見事さは、半田の先人達がビール製造に込めた心意気を感じさせます。
●この建物を設計したのは、明治建築界の三巨頭の一人、妻木頼黄(つまき よりなか)です。安定した温度と湿度を必要とするビール工場ならではの特徴的な構造を持っており、2重~5重の空気層を有する壁(複壁)や、多重アーチ床(断熱耐火床)など、室全体を外気から遮断し、低温を保つ工夫が随所に見られます。 また、レンガ造建築物としては全国有数の規模を誇ると共に、日本のビール製造の黎明期における数少ない工場の遺構です。
●第二次世界大戦中、ビール工場としての役目を終え、中島飛行機製作所の衣糧倉庫として使用されていた半田赤レンガ建物は、昭和20年(1945年)7月15日、硫黄島からのP51小型機(通称:ムスタング)による超低空での攻撃を受けました。建物北側の壁面には今もその時の機銃掃射跡が生々しく残っています。
平成16年、半田赤レンガ建物は国の登録有形文化財(建造物)として登録されました。
●普段は外観を眺めることしかできませんが、年に数回各種イベントの際に1階部分を一般公開しています。
また、夜にはライトアップもされています。(時間:日没後~21時まで、7月から9月は22時まで)
10月6日(土)、7日(日)特別公開します。
■起工:明治30年9月1日
■竣工:明治31年10月31日
■基本設計:ドイツ・ゲルマニア機械製作所
■実施設計:妻木頼黄
■施工:清水組(現・清水建設株式会社)
■敷地面積:33,787㎡
■建築面積:3,481㎡(当初建築面積:1,907㎡、一部解体により残存部2,829㎡)
■述床面積:6,983㎡(一部解体により残存部5,456㎡)
■建物高さ:約21m(地盤面から5階棟頂部まで)
■構造様式:地上5階建煉瓦造(イギリス積、一部長手積)
床/鉄骨併用煉瓦造アーチ式耐火床、一部木造床
柱/鋳鉄、一部木造
屋根/天然スレート葺桟瓦付、一部亜鉛板棒葺
■交通
名鉄住吉町駅下車 国道247号沿い東へ徒歩5分
(ナゴヤハウジングセンター半田会場隣り)
■お問合せ先
担当課:企画課
電話:0569-21-3111(内線223) FAX:0569-23-6061
メール:kikaku@city.handa.lg.jp